メディア展望 2026年6月号 No.774
編集長のひとこと
■巻頭にはノンフィクション作家の清武英利氏の講演録を掲載しました。読売新聞社で山一證券の破綻をスクープするなど社会部記者として辣腕を振い、巨人軍の球団代表も務めました。球団経営を巡って読売新聞主筆の渡...
新聞社や通信社は、「情報産業」(Information Industry)とされている。ところが現在は「情報」というものをしっかりつかんでいない。それが現在の新聞の販売部数の衰退の根幹にある。
生成AIの驚異的な進歩で、パソコンとインターネットによる情報革命第1期は、第2期に突入した。これは本質的な変化であって、従来の見方で...
沖縄が米占領下に入り1972年に本土復帰するまでの十数年、「沖縄特派員」と呼ばれる記者たちがいた。米軍に生殺与奪を握られながらその圧政を報じてきた強者(つわもの)たちだ。だが彼らの活動は社史やジャーナリズム研究史にも深く刻まれることなく今日に至っている。立命館大学産業社会学部でメディア社会を専攻する根津朝...
ここ数年、毎年のように国政選挙が行われている。そのたびに各メディアは選挙の予測として「選挙情勢調査」と称する記事を投開票日の前に掲載している。選挙報道の特異性については、本連載の第5回(2024年12月号)で取り上げたことがあるが、「情勢調査」記事は、その中でも特にユニークな日本語構文を持っている。「選挙情...
国際都市として知られるスイス・ジュネーブに赴任して約半年が経過した。トランプ米政権をはじめとする各国の拠出金減少により、多くの国際機関は未曽有の試練に直面している。大規模な人員削減に、抜本的な組織改革─。地殻変動に見舞われるジュネーブの「今」をお伝えしたい。
街覆う「緊縮」
ジュネーブには国連欧州本...
国会議事堂の1階の衆院側に「中央食堂」がある。ちなみに国会の中には、衆院、参院にそれぞれ「議員食堂」があり、参院の地下1階には、確かそば屋もあったはずだ。どの食堂も、国会に入れる資格があれば、誰でも自由に利用することができることになっている。
最もにぎわっていたのは中央食堂だった。国会で働く職員、それ...
米中首脳会談(5月14、15日)が終わったが、時間がたっても、どんな会談だったか、全体像が見えない。「とりあえず融和を演出したが」(15日読売社説)、「すがるトランプ氏、突き放す習氏」(17日付日経「覇権の暗闘(上)」)などの見出しで雰囲気は分かるが…。見るべきは21日付日経朝刊のニュースエディター「習氏『米国の世紀衰...
この5月6日、テッド・ターナー氏が死去した。同氏の名を世界に知らしめたのは、何と言っても1980年の24時間ニュース専門チャンネル「ケーブル・ニュース・ネットワーク(CNN)」の立ち上げである。
ターナー氏は父親の看板広告事業を引き継ぎ、70年にテレビ局を買収。これが同氏の名を冠したメディア複合企業「ターナー・ブ...
米国の地方都市では日本と同様、最大規模の編集部を持つのは、地元新聞社となっている。しかし、新聞社が発行部数減少、広告収入の低迷に苦しむ中、新興のデジタルオンリーのニュースサイトが、新聞社の規模をしのぎ始めている。
この中には、地元の新聞社、ラジオ・テレビ局よりも多くのデジタルアクセスを集め、発行部数...
4月15~18日、イタリア中部の古都ペルージャで、毎年恒例の国際ジャーナリズム・フェスティバルが開かれた。20回目となる今年は526人の登壇者を迎え、191のセッションに2000人以上が参加した。テーマはAI、紛争報道、情報操作と多岐にわたった。中東紛争の焦点となるイスラエルの検閲状況、ロシアの情報攻勢にさらされたモル...
4月23日は国連教育科学文化機関(UNESCO)が制定した「世界図書・著作権デー」である。中国では毎年この日に読書促進活動が行われるが、今年は変化が起きた。2月から施行された「全国読書促進条例」に基づき、毎年4月の第4週が「全国読書活動週間」に設定されたため、今年4月20日から26日までは初の読書週間となり、全国各地...
本書は戦後80年にわたる日本の調査報道の歩みをたどり、その果たした役割を描いた労作である。第一線のジャーナリストや、報道の世界を目指す学生たちに向けて、独自取材の大切さを改めて伝える内容だ。社会を動かした過去の事例を丹念に示し、権力中枢に迫った報道だけでなく、その時代のキャンペーン報道やルポルタージュ...