メディア展望 2026年5月号 No.773

編集長のひとこと
■高い支持率を背景に総選挙で圧勝した高市早苗首相ですが、政権発足後のご祝儀期間を過ぎ、これからは「実績」と「結果」が問われることになります。ここにきて支持率に陰りが見え始め、官邸内部や自民党内、そして...
編集長 一ノ瀬英喜
トランプ米大統領は自身に批判的なメディアを敵視し、さまざまな形で圧力をかけて報道を支配しようとしている。名誉棄損や損害賠償の訴訟を連発したり、放送通信事業を監督する連邦通信委員会(FCC)を通じて放送免許剥奪の脅しをかけたり、公共放送局への公的補助金交付を打ち切ったりしてきた。民間放送局に関しては、盟友...
痛ましい事件報道に接する機会が少なくない。そのたびに繰り返し報じられる言葉を何気なく読み、聞いている読者や視聴者が形成するイメージの影響は大きい。今回は犯罪報道の問題点として指摘されながら、ほぼ定着している感のある「男性」と「男」、「女性」と「女」の使い分けを取り上げる。 非難を込めた使い分け 具体...
180カ国・地域中178位。国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」による報道の自由度ランキングにおける中国の順位だ。2025年時点で中国より下位は北朝鮮とエリトリアのみ。拘束されている報道関係者は100人超で世界最多だ。 中国のメディアは「共産党の喉と舌」と呼ばれる。その役割は党の主張を内外に浸透させる宣伝工...
田中角栄との長い「角福戦争」の末、福田赳夫が政権を手にしたのは1976(昭和51)年12月24日のことだった。私は現場を駆け回る記者だったが、驚き、かつ非常な違和感を覚えたことがあった。福田が内閣のキャッチフレーズとして「さあ、働こう内閣だ」と宣言したことであった。 あれ、どこかで聞いたことがある言葉だと思い、...
「何がどうなっているのか分からない」─。アメリカとイスラエルのイラン攻撃をはじめ、最近の出来事を見ていると、そんな気がしてくる。最大の「元凶」はもちろんあの超大国の大統領だが、報じるメディアにも問題がある。この世界の先が見えない。 大統領の発信にファクトチェックを 「身勝手」「無責任」「ホワイトハウ...
8月は毎年、「戦後○年」として、戦争と原爆に関する報道が集中する。8月以外でも、事件発生から1周年や5周年、10周年という節目には一層熱が入る。これらが、いわば〝周年報道〟である。今年は東日本大震災から15年であり、私の地元では熊本地震10周年を迎えた。こうした周年報道に対する各報道機関に見える執念を追ってみ...
このところ、日本製コンテンツの海外展開に向けた取り組みについて、議論が活発化している。そのきっかけは、昨年10月に首相に就任した高市早苗氏が立ち上げた「日本成長戦略会議」が示した17の戦略分野の一つに、「AI・半導体」「合成生物学・バイオ」「デジタル/サイバーセキュリティー」などとともに「コンテンツ」が選...
今年3月、パリで開かれた原子力エネルギー・サミットで、欧州委員会のフォンデアライエン委員長がこう述べた。 「信頼性が高く、手頃で、低排出のエネルギー源に欧州が背を向けたことは、戦略的誤りだった」 この発言が重いのは、発言者自身が2011年にドイツの原子力廃止を決定した内閣の一員だったからだ。欧州の指導者...
米紙ワシントン・ポスト(以下ポスト)が従業員の3分の1を解雇し、経営不振に陥っている。創刊以来の危機といってもいい。当欄でも報じたが、なぜそれが起きたのか。米オンライン小売大手アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏が2013年に買収したことが、ポストの成功、そして現在は低迷につながったと言える。その...
2026年2月24日、中国映画産業の動向および関連データを分析する調査機関「猫眼研究院」は、「2026年春節档(旧正月期間の映画公開枠)に関する洞察」を公表した。同報告によれば、本年の春節連休期間中の映画興行収入は57億5200万元(1元=約22円)となり、前年同期比で39・6%減少した。観客動員数は延べ1億2000万人で、同35・8%...
毎日新聞は2022年1月、3年後の戦後80年に向け、大阪本社が秘蔵してきた「毎日戦中写真」のデジタル化に着手し、併せてその成立の過程と内容の解明を本書の著者・貴志俊彦京都大学教授(現名誉教授)、渡邊英徳東京大学大学院教授との産学共同プロジェクトとして立ち上げた。その成果は2年後に、著者の毎日本紙コラム「戦中写...