メディア展望 2026年9月号 No.777

編集長のひとこと
■巻頭にはシンポジウム「トランプ米大統領に揺さぶられる世界」の第2部・有識者によるパネルディスカッションの詳報を掲載しました。国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる「ユーラシア・グループ」が今年の世界...
編集長 一ノ瀬英喜
公益財団法人・新聞通信調査会は6月23日に都内で公開シンポジウム「トランプ米大統領に揺さぶられる世界」をテーマに開催し、オンラインでもライブ放映した。第1部では北岡伸一東京大学名誉教授が「日本外交史から見たトランプ革命」と題して基調講演(本誌8月号に掲載)。 第2部パネルディスカッションでは、国際安全保障に...
日本の報道機関が国政選挙でボートマッチを導入してから、2026年7月で20年となった。ボートマッチとは、Vote(投票)とMatch(似合いのものを見つける)を組み合わせた造語だ。有権者が政策に関する幾つかの質問に答えていきながら、候補者や政党の政策や公約を知り、最後に自分の考えに近い「一致度」を可視化するインターネッ...
選挙の際の交流サイト(SNS)に投稿される偽情報対策を強化する改正関連法が、7月13日に参院本会議で可決・成立した。改正されたのは、公職選挙法と情報流通プラットフォーム対処法の2法。公選法では投稿者に対し偽情報・誤情報を広めない責務が初めて明記され、情プラ法ではSNS事業者(プラットフォーマー)に偽情報による悪影...
トランプ第2次政権の下、米放送メディアを取り巻く環境は今、重大な局面を迎えている。トランプ大統領は自身に友好的な富豪が支配するコングロマリットによる他の大手メディア買収を容認して寡占を助長し、政権の意に沿わないメディアに対しては放送免許審査などで圧力を掛けている。それらを法的手段で阻止しようとする動...
政府は2026年7月21日、高市早苗政権としては初めての「経済財政運営と改革の基本方針」を閣議決定した。それを報じる22日付の各紙の見出しを眺めながら、2文字の漢字が妙に気になって仕方がなかった。 牛乳の名前? まずは1面の本記記事の見出しを並べてみる。 「骨太、成長企業に補助金 国主導で競争力底上げ 閣議決定」...
米西部カリフォルニア州の北部に位置するシリコンバレーは、世界最先端のITや半導体企業が集まるエリアとして名高い。古くから移民などさまざまな背景を持った人材を受け入れてきたこの地域を取材し、多様性が革新の源泉となっていることを実感している。だが、そんなシリコンバレーにもトランプ政権下で広がる排外主義の動...
朝日新聞が週末の夕刊で連載している「写真館─Since1904」。同紙が初めて写真を紙面に掲載したのが1904(明治37)年。それからの写真を新旧取り混ぜてテーマごとに配置して、1㌻特集にした構成である。最初は土曜日夕刊で扱われていたが、土曜夕刊が廃止された結果、今は金曜日夕刊となっている。 2025年8月22日では「わらわ...
8月15日は、正確には太平洋戦争で無条件降伏を受け入れた昭和天皇の「玉音放送」が流れた日。だが戦後81年間、「終戦の日」とされてきた。それは、月遅れのお盆と重なって、非業の死を遂げた膨大な死者たちを悼む痛恨の思いがあるからだろう。 今年注目されたのは、そんな日を首相として初めて迎えた高市早苗氏の言動。結...
熊本在住十数年。2度目のマグニチュード(M)7、震度7の地震に見舞われた。前回は地震が起きた4月から約3カ月たって8月号にやっと書いた。今回は7月28日の発災から約2週間の地震報道を地元で読める紙面で検証してみた。 イ、死者数の齟齬 地震の大きさを端的に示すのが「死者数」だ。今回の「令和8年熊本地震」では、発災翌...
7月5日、NHKは記者会見を行い、同局職員が番組出演者から性被害に遭う事案があったことを発表した。会見では、本事案の調査を行った外部の有識者3名による調査検討委員会の報告書の内容などを基に、これまでの経緯と再発防止に向けたNHKの今後の取り組みについて説明が行われたという。 まず、NHKの発表資料などを基に、こ...
7月20日、英国に新たな首相が就任した。黒縁メガネ、黒く深い眉、長いまつげが印象的なアンディー・バーナム氏(56)だ。この10年で6人目、2016年以降では7人目の首相となった。与党・労働党は24年夏の総選挙で圧勝し、14年ぶりに政権を奪回したばかりだった。当時の党首で元公訴局長のキア・スターマー氏が妻とともに官邸前...
「洛陽紙貴(洛陽の紙価を高める=日本では洛陽紙価)」という故事成語がある。古代中国・西晋の都、洛陽で、人々が人気の書物を書き写したため紙の価格が高騰した故事に由来し、後世には、書物などが広く読まれ、好評を呼ぶことを意味する。7月25日、中国・広西チワン族自治区の共産党機関紙『広西日報』が1面トップに掲載し...
米大統領府ホワイトハウスにある「ジェイムズ・S・ブレイディ記者会見室」。テレビに頻繁に登場するが、「どの報道機関がどの席に座るか」は、米国メディアと権力の関係を考える上で、かなり興味深い視点だ。会見室は記者約200人を収容する。しかし、テレビに映る固定席は、7席7列の49だけで、席には社名が書かれた金属プレ...
ジャーナリズムと政治の立ち位置は一般に相克的だ。取材する側とされる側として常に一定の緊張感をはらむ。政権批判は報道の使命であり、政治は報道をコントロールしようとする。某大国の大統領とメディアとの関係を引き合いに出すまでもない。 その一方で、両者には本質的な共通点が少なくないのではないだろうか。 なぜ...