編集長のひとこと
■巻頭にはシンポジウム「トランプ米大統領に揺さぶられる世界」の第2部・有識者によるパネルディスカッションの詳報を掲載しました。国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる「ユーラシア・グループ」が今年の世界10大リスクのトップに「米国の政治革命」を挙げましたが、トランプ氏が司法、立法、行政の三権を意のままに動く組織に作り替えているのは、まさしく〝革命〟です。外に向けては相互関税を皮切りにイラン戦争に加え、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長に制裁を科すなど、先の大戦を断罪した東京裁判を主導したはずの米国が「力は正義」とばかりに、自由貿易、法の支配という自ら構築した国際秩序を解体しようとしています。共和党の劣勢が伝えられる11月の中間選挙に向けて、同氏がレガシーづくりのために繰り出す次の一手に世界は戦々恐々です。パネルディスカッションでは、米国で今、何が起きているのか、日本をはじめ国際社会がどう対応すべきか、活発な議論が交わされましたので、ぜひご一読ください。
■トランプ革命の次なる標的は放送メディアのようです。自分に好意的なメディアを優遇し、意に沿わないメディアには放送免許の剥奪をちらつかせて圧力を掛け、名誉棄損で巨額の賠償金支払いを求めて訴訟を乱発するなど、米国の放送メディアを取り巻く環境は重大な局面を迎えています。元AP通信の我孫子和夫氏の原稿で、その背景について解説していただきました。また、トランプ氏と丁々発止のやり取りが繰り広げられるホワイトハウスの記者会見場の席順を巡って政権側と記者協会の〝対立〟も表面化しました。津山恵子氏の海外情報(米国)では、露骨にメディアを選別しようと画策するトランプ政権と記者協会とのせめぎ合いの様子を克明に描き出しています。
■インターネットを利用して有権者が政策に関する質問に答えると、自分の考えに最も近い政党名などを教えてくれる「ボートマッチ」が日本で始まってから今年で20年となります。今月号から、その歩みや課題、今後の展望などを考察する連載企画「ボートマッチ20年の軌跡」を掲載します。執筆者は共同通信ニュースセンターの西野秀副センター長です。(一ノ瀬英喜)