巻頭には北岡伸一東大名誉教授がシンポジウムで行った基調講演の概要を掲載しました。先の大戦の反省から、世界は米国主導で①国連に代表される紛争の平和的解決②自由貿易の堅持─の二つの原則で国際秩序を維持してきました。しかし、ロシアのプーチン大統領がウクライナを侵略して紛争の平和的解決を踏みにじり、トランプ米大統領が関税を武器に自由貿易体制を揺るがしています。北岡氏は、国際社会が戦後の反省を忘れて今に至ってしまった経緯や、米国の対日政策に、親中か反中かという大統領の対中姿勢が大きく影響し、影を落としてきた歴史を検証。今や米国などがあてにならない状況を踏まえ、日本が果たすべき役割として、米国との関係を維持しつつも、韓国、オーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国に太平洋島しょ国を加えた「西太平洋連合」の構築を提唱しています。

 トランプ大統領の「力は正義」と言わんばかりの言動が、世界中を混乱させています。自由と民主主義を守り、西側諸国の盟主だった米国は「脅迫」と「貪欲」にまみれた国へと変貌し、今や世界のリーダーから〝嘲笑の的〟になったとの指摘さえあります。にもかかわらずMAGA派を中心とした支持基盤は健在で、トランプ氏を突き動かす背景には、キリスト教「福音派」の存在があります。時事通信の佐藤伸行元ワシントン支局長の講演録では、福音派とはどういう存在なのか、その教義や行動原理などを詳しく解き明かしていただきました。

 ■サッカーワールドカップ(W杯)はスペインの優勝で幕を閉じましたが、国際サッカー連盟(FIFA)の金満体質やトランプ大統領の横やりで政治とスポーツの関係が問われる大会となりました。津山恵子氏の海外情報(米国)では、前号に続きW杯で浮き彫りとなった多くの問題点を報告していただきました。(一ノ瀬英喜)


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